父親学入門 (3)― IT革命の波に乗り遅れるな―


ΙΧΘΨΣ (さかな) 


はじめに

父親学入門も最終回を迎えました。『12才までは親の言う通りにするが、12才からは親のやった通り真似をする。』我が家でもその通りで、私とそっくりの子供時代でした。

『大学入試 』も決して順調ではなく、紆余曲折と挫折の連続でした。しかしそれなりに頑張って、自分の希望する進路に進む事ができました。子供の進学を通して私達夫婦は良く祈るようになりました。こころを合わせて祈る祈りは必ず聞かれています。

今回は『今という時代』について書いてみます。『新しいぶどう酒は新しい皮袋に』時代は大きく動いています。私達の子供の頃とは比べ物にならないほどの膨大な情報に囲まれています。彼らが時代の波に旨く乗れるように親として何ができるでしょうか。


@ ミニ国際会議

横浜海外交流協会という任意団体に入会し、数多くの海外からのお客様を迎えました。15年間で総勢約40名は越えています。その中には合計で七回も来てくれた人もいます。もてなしの基本は英語とその国の言葉で接待することでした。(A little language goes a long way.)

子供達は喜んでコンパニオンを務めてくれました。幼い子供の会話には『天使の響き』が宿っています。私達大人が会話の中心にならないように努めています。世界地図を中心に外国の文化や人々の暮らしぶりを学ぶのは楽しい事で、子供達の目がいつも輝いていました。外国人には誉め上手な人が多いのに驚かされます。愛に満ちた眼差しで英語を教えてくれる先生達に囲まれて、子供達の英語はどんどん伸びていきました。教育の基本は先ず誉める事、これに尽きます。

最初子供達に出来ることと言えば、『折り紙』を教える事くらいでした。しかし、これがとても役に立ちました。折り紙を教えながら、英語の会話を少しずつ積み重ねていきました。次には自分のアルバムを持ってきて、生い立ちを説明させました。誰でも自分の事は自信を持って説明できるものです。

それがやがて、夕食の後、『ミニ国際会議』を開くまでに発展して行ったのです。子供達は『環境問題』とか『民族紛争』について既に社会科で勉強しています。意見をまとめ、発表する良い機会でした。しかもそれを英語で発言できるのです。


A 子供を医者にする法

三女が生まれ、四人の子供の父となった時、義父に或る宣言をしました。『四人のうちの二人は将来医者にします。』特に勝算があったわけではありません。私自身に対する『努力目標』でもありました。 暫くして、一番上の姉から電話があり、効果的なアドバイスを受けました。『医者にするには、先ず科学の好きな子供にする事』として『学研の科学』という雑誌の講読を薦められました。 (現在は『学研の学習と科学』と名称も内容も変わっています。)

子供達には大好評でした。この雑誌には面白い付録がついていて、いろいろな実験ができるのです。幼稚園児の次女と三才の長男は毎日夢中になって付録と遊んでいました。知らぬ間に『科学の好きな子供』になっていたのです。都会に住む『虫の大好きな女の子』なんて変わっているでしょう。しかし、将来医者になるには広い科学の知識が必要です。どんな玩具を与えるかによってその子の将来は大きく変わるものです。玩具次第で『 タイガーウッズ 』にもなれば『石川五右衛門 』にだってなれるのです。今になって親の責任の大きさを痛感しています。子供達は『受験戦争』を勇敢に戦ってくれました。そして、次女が国立の医学部に合格しました。

男の子を育てるのは本当に難しい。我が家に男の子は一人、ですから小さい時から、長男にだけ個室があてがわれました。これが大きな間違いでした。夕食を済ますとすぐに二階に上がって行きます。『これで一安心、自分の部屋で勉強に精を出している』しかし、世の中そんな甘いものではありません。中学生になると『エロ本』が出てきました。何をやっているか、男なら誰にも思い当たるでしょう。

妻と相談して、こたつで勉強させる事にしました。『美味しいケーキがあるから、勉強道具を持って降りていらっしゃい。』嬉しそうに長男が降りて来ました。以来我が家では、勉強はここでさせることにしました。大きな戦いでした。居間には『こたつ、テレビ、みかん(または柿ピー)』の楽しみがあります。しかし、受験勉強期間中は、これを放棄する事にしました。

男の子は『母親の目の届くところ』で育てるべきです。『幼いなあ』と笑ってはいけません。そのうち、『この人(母親)を何としても喜ばせてやるんだ。』と発憤するようになるのです。 NHK朝のテレビドラマの『私の青空』に出てくる『大陽君』は全世界の男の子の代表です。男の子をやる気にさせられるのは母親しかいないのです。

B IT革命の波に乗り遅れるな

『IT革命』といいます。情報とは英語で表現されたものを意味しています。今、世界中を飛びまわっている情報の80%は英語で書かれたものだといわれています。英語で情報を入手し、これを使いこなす能力が求められる時代になったのです。

仕事柄海外出張で、長いホテル生活を余儀なくされることがあります。日本人ビジネスマンの多くは、日本人だけで酒を酌み交わしたり、ゴルフをして過ごしています。しかし、私はテレビやラジオを利用して、必要な現地の情報を入手するようにしています。早朝には欧米や豪州で活躍するキリスト教伝道者のメッセージがあります。日曜日には5〜6本伝道番組を見て、近くの教会の礼拝に出席します。『 主を畏れることは知識の始めである。』聖書は英語の勉強に最高の教科書です。

三女が高校二年の時に一年間米国の高校に留学しました。こちらからは毎日電子メールを打ちました。留学を主催する事務局からは『さとごころ』がつくので、こちらからの連絡は控えるようにいわれていましたが、それを敢えて無視したのです。日本で起こっているニュースを英語で纏めて連絡してやりました。夏休みでしたから、『夏の甲子園、横浜対PL大熱戦』とか『家族の動向』でした。親戚の目出度いニュースが続きました。

そのうち、彼女から拙い英語の文章が返ってくるようになりました。その文章がどんどん長くなるのに時間はかかりませんでした。現地の教会で多くのクリスチャンの先輩達に励まされ、逞しくなって帰って来ました。16才は本当に多感な年頃です。英語で『gold sixteen』というほどに大切な一年間です。彼女はベストを選択できたのではないでしょうか。

子供達は学校や家庭でコンピューターを使って、電子メールを交換したり、インターネットの情報にアクセスしています。まだ英語で情報を発信できるまでには至っていませんが、着実に前進しています。英語で情報を発信することは特別な事ではありません。IT時代における『世界標準の通信手段』に過ぎません。

子供達の人生は各家庭の考え方に大きく左右されます。本人は自分で勝手に選んだ積りですが、両親や家族の影響を強く受けているものです。家庭の内情は外からは見えません。しかし見方、考え方は各家庭で大きく違っているのです。


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