神話の世界を科学する


日本の各地には数多くの神話や民話が伝承されており、各地の風土記に納められています。奈良県一帯を統治していた『大和朝廷』にとっては『万葉集』や『古事記』がそれに当ります。その中で『天照大神(あまてらすおおみかみ)の天の岩戸事件』や『神武天皇の東征』といった神話が戦前の国語や日本史の教科書に登場しています。

天照大神や神武天皇は勿論実在の人物と解釈すべきではありません。しかし、それを全く事実無根の作り話と笑って片づけるには惜しい話です。『大和朝廷』という豪族はやがて日本という国の支配者として君臨するようになるのですが、自らの成り立ちを証明し、その権威を正当化するためにどうしても残しておきたかったに違いありません。

これらを総合すると、『大和朝廷』を構成する部族がいつ頃、どこからやってきた人達かがわかります。また、どのようにしてライバルを倒し、権力の座に就いたかがよくわかる話なのです。


@ 『天照大神(あまてらすおおきかみ)の天の岩戸事件』

天照大神がある時ご機嫌を損ねて天の岩戸にお隠れになった。そのため、国全体が暗くなり、人々は悩み苦しんだ。そのため、一計を案じ岩戸の前で人々が歌い踊った。その物音に彼女が岩戸を少し開けて覗き見しようとした瞬間に力持ちの男の神様が岩戸を開けて、彼女に出てもらった。めでたし、めでたし。 これがお話の大要です。

太陽が長い間姿を消し、人々は作物が取れず、絶滅の危機に瀕した実話に基づいています。それは、いつごろ起こった事件でしょうか。 地質学の調査では西暦535年に現在のジャワ島とスマトラ島の間にあった火山が大爆発を起し、数年間に亘って天候の異変をあったことが証明されています。この火山の噴火の規模を創造を絶するものがあったようで、噴火後は山そのものが姿を消し、現在のスマトラ島とジャワ島に分断されたのです。

そのため、実に地球上の人口の80&以上が餓死したことが確認されています。歴史的には古代史が終り、世界各地に中世国家が勃興してきます。中国の歴史書もこの事件を『南史』で記録しています。 現在の日本では『天の岩戸の話』は長期間日食が続いたものだろうと解釈されています。しかし、そのような事は天文学では確認されていません。 どの国にも太陽が姿を消すと言う民話は残っており、この火山の大爆発が如何に大きな影響を与えたかを如実に物語っています。

火山の長期にわたる大爆発によって、この地球上の多くの民族は死滅したものと思われます。生き残った人達は漂流の民となった世界中に散らされ、新しいパワーバランスが構築されて行きます。中国には最初の世界帝国である『隋』が起こります。同じ頃の日本には聖徳太子が登場してきます。ですから、『天の岩戸』も『聖徳太子』も同じ次元で解釈すべきでしょう。

聖徳太子がどこから来た人物であるのか謎に包まれていますが、隋の開祖である『煬帝(ようてい)』と顔見知りであったのではという説もあります。少なくともこの人物が大変有能な官吏として腕を奮い、日本国の基礎を築いたのは事実です。そして、隋の不興を買ったにも拘らず、その後『遣隋使』を送り、先進技術の吸収に努めているのも紛れもない事実です。


A 『神武天皇の東征』

神武天皇が東に向かって行軍を続けていた時、彼の長刀に一匹の金色に輝く小鳥が留まった。これを見た敵軍は恐れおののいて、戦わずして平伏した。

そんなことは現実には起こりえません。しかし、全くなかった事と無視する事もできません。それでは一体どのような解釈ができるのでしょうか。これは西暦645年に起こった『大化の改新』を伝えるものです。蘇我氏を討伐するクーデター事件であり、これによって大和朝廷と藤原氏との権威が確立した歴史的な大事件です。

首謀者が時の権力者を殺害した際、太陽光線を巧みに利用したのではないでしょうか。太陽が昇ってくる朝の時間を利用し、剣に太陽の光を反射させ、相手の目を一瞬くらませておいて暗殺したものと思われます。夜の暗闇に乗じて寝所に忍び寄り、日の出とともに襲撃していった当時の戦闘のようすが思い浮かんでくるではありませんか。


B 伝承文学の意味するもの

神話や民話というと大昔という時代設定ですが、実際は精々五十年以内に起こっている事実なのです。大切なのはそのような貴重な伝承文学を正しく解釈できる体制に我が国があるのかどうかということです。

残念ながら、現在の日本は依然として『皇国史観』が色濃く残っています。この歴史観の元では『大和朝廷』が当時の最高権威者であったと位置づけています。奈良時代は大和朝廷が我が国を平定し、統一国家を樹立したとの解釈が施されてきました。 しかし、そこにはまだ多くの謎が残されています。

そのため、折角残されている多くの民話や神話に正しい解釈も施されないまま、闇から闇へ葬り去られようとしています。昨今、最高の政治指導者である森首相の『天皇を中心とした神の国』発言が問題になっています。その趣旨は決して戦前のような軍事大国を再現したいと趣旨ではないと思います。民話や神話として伝承されている文化の中にある真実を後世に伝えたいと言う素朴な思いではないでしょうか。しかし、そのためには真実が明らかにされなくてはなりません。

今、この国の伝承文学は絶滅の危機に瀕しています。 真実を解明しようとする動きを阻止する勢力が厳然として存在しているからです。真実が公にされると都合の悪い人達がいるからです。古代日本を解明する鍵となる遺跡が次々と発掘されています。それも日本国全土に分布しています。それらを総合すると、この国に伝えられて来た文化は朝鮮半島経由だけに止まらず、アジア全体に及んでいます。今以上にお互いの興隆は盛んであったと思われます。

歴史はいつも時の為政者の道具として使われて来ました。そのため、都合の悪い所は削除されたり、捻じ曲げられて解釈されています。それは別に日本だけの問題ではありません。歴史を意味する言葉を英語では『History』といいます。His Story、すなわち『彼の物語』である。神様の光に照らされた時から、歴史の真実が明らかにされるのです。イエスキリストというまことの光に照らされて、この国の歴史の真実が解明されていく事を切に望みます。イエスキリストは全ての人を照らす『まことの光』だからです。


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