運命の子
A Daughter of Destiny


■RoseNoirさんはアイルランド在住の聖公会の日本人主婦にして人形アーティスト(http://www.fairyinthegarden.com/)。娘さんのサラジェインちゃんの誕生の証です。神の主権と憐れみをみることができる素晴らしい証です。特別にお願いしてご寄稿いただきました。

●破水:2001.9.10. 5:33pm

9月4日、買い物中に突然、破水、緊急入院しました。予約していた病院では超未熟児を収容する施設がないということで、国立産婦人科病院(通称Holes Street)に母体搬送されました。その後、なんとか5晩6日、持ちこたえることができたものの、10日朝にはお印がありました。

そして、その日の午後5時33分、サラジェインは体重わずか810g、週齢26週+5日で誕生しました。分娩は全くの自然分娩で第二段階に入ってからはわずか20分足らずでした。NICU(新生児集中治療室)の小児科医の話では、この週齢の子は肺の発達が充分ではないということでしたが、元気な泣き声を上げ、肌色も良く、ほっとしました。 ところがその一安心は嵐の前触れだったのでした。

●奇跡:2001.9.11-15

この日の朝、ニューヨークのツインタワーにハイジャックされた2機の飛行機が突っ込んで行くのをニュースで見ていました。そして、お昼頃にはサラジェインに緊急の洗礼式を施していただいたのですが、その頃からアラームが鳴り響き、サラジェインの容態が悪化していったのです。

理由は、腎臓不全。おしっこが出ないのです。腎機能を助けるため、様々な薬が投与されましたが、誕生後3日を過ぎてもおしっこは出ませんでした。腎臓やその他器官に形成上の異常はなく、原因不明でした。サラジェインの身体はみるみるうちに赤紫に腫れて行きました。そのうち、白血球も異常に増え始めましたが、感染症も無く、骨髄には異常が認められず、これまた原因不明でした。

困り果てた担当医は最後の手段として血液交換(腎臓透析は幼過ぎるので行えないため、その代わりに)をしてもよいが、これはあくまでも腎臓不全に対する対処療法に過ぎず、それをしたからといって、その後腎臓が動くようになるとは保証できないし、白血球の異常もあるので、親である私達が望むなら、治療を諦めてもよいとの説明を受けました。私達はともかく10%でもチャンスがあるなら試してくれとお願いしました。 

その後の2日2晩はとても長い時間でした。血液交換中は面会できないため、自分の病室で(病院が気を使って個室を回してくれた)私は産まれて初めて、真剣に何時間も祈りました。祈っていない時も、病院から祈祷集を借りて、そこに載っている御言葉を読み続けました。
『求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。でも、求める者は受け、探す者は見つけ、門をたたく者には開かれる。』(新共同訳聖書、マタイによる福音書7章7節、8節)
その時、私の頭の中にこだましていた御言葉です。祈祷集自体には見つけられなかったのですが・・・。今、思えば、これは御霊のささやきだったのだと思います。

そうしているうちに、もうそれは1晩目の明け方だったのですが、サラジェインの保育器の上に天上からの光が差し込み、天使達が見守る中、白いガウンをまとったイエス様がなぜかガラスを通過して、サラジェインの額に御手を差し伸べられているというイメージまで浮かび、なぜかサラジェインは助かる!と思いました。

其の時は治ってほしいという思いが強かったせい、と思っていたのですが、後で思い返してみるとあれはクリスチャンの友人達が言う所の、『ビジョン』だったのかもしれません。

1回目の血液交換は50%交換でした。その結果、ついにおしっこが出るようになりました。ただし、そのまま回復、とはならず、容態が下り坂になったため、もう一度、血液交換をすることになりました。今回は100%の血液交換で、非常に危険であるため覚悟していてほしいとのことでした。

2日目の晩、私は夜中過ぎには睡眠薬の助けを得て眠りました。なぜそんな時に眠れたかといえば、この世的に言えば精魂尽きた状態だったからですが、霊的に言えば全てを主に委ねたので、『主の平安』を与えられたからでした。

3日目の朝、サラジェインは大量のおしっこをして、本当に奇跡的に回復の一途を辿って行きました。不思議なことに異常だった白血球値も正常になりました。担当医や看護婦達も実際、サラジェインのように血液交換に耐えたこと自体がまず奇跡的だと言っていました。

●その後のサラジェイン

サラジェインは肺炎になったので、NICU内の隔離病室に入ることになりました。この頃未熟児網膜症(ROP)にて、再び祈りの毎日でした。幸いにも両方とも乗り越えることができました。 そして11月末には無事、退院する事が出来ました。
※サラジェインちゃんの成長の証を見ることができます⇒http://www.mylittlechurch.com/

●いろいろな思い

この体験を通して、私は幼少の頃からミッション系の幼稚園、日曜学校を経て、11歳の時には受洗したという経歴の割には、クリスチャンとしては全くいい加減な生き方をして来たことを真剣に悔い改めました。本当に、ティーンエイジャー〜20代前半の頃は教会を離れ、信仰を忘れていました。今振り返ると、その間でさえ、実は主が導いてくださっていたのだと気付かされるのです。今までいろいろな事がありました。

その全てを通して、主は私という『壊れた器』を修理し、完成させようとなさっているのです。また真剣に祈る事を通して、生きておられる主に触れる事ができたようにも思います。主は未信者の世間一般が考えるような遠くにいて触れる事も出来ない存在ではありません。

主は全知全能の神でありながらも人間として33年間、この地上で過ごされました。人間の痛みや悲しみを誰よりもよく御存じであり、悲しみに沈む人々を誰よりも慰めたいと願っておられます。真に温かく頼りになる方です。人間同士では頼ると言っても限度があります。特に死を目前にしては家族も友人も、医者も結局は歯が立ちません。しかし主はその『死』を征服された方であり、私達に『死』を乗り越えたところにある希望を与えてくださります。

Yea, though I walk through the vallery of shadow of death, I will fear no evil, For Thou art with me; thy rod and thy staff they comfort me.
(Psalm 23:4, King James Version)