英国の旅Z

グリントン・ロッジ→インヴァネス(ネス湖)

【8.6】


朝8時30分頃にグリントン・ロッジを発つ。今日向かうところはいよいよネス湖である。距離にして約400キロ。その途中にかつてローマ帝国が支配していた頃、世界最強のローマ軍すら恐れをなしたスコットランド人の進入を避けるために造ったというヘイドリアン・ウォールを見ることにする。これはかつては西はカーライルから東はニューキャスルに至る約120キロに及ぶ城壁の跡である。さっそくナヴィにカーライルを入力し、出発する。

私の頭にはモータウェイのM6に出てカーライルでおり、ヘイドリアン・ウォールの西の端を見て、再びM6に戻って北上と考えていたが、いざナヴィに従って走ってみるとどうも違う方向に向かっている。つまりナヴィはニューキャスルに向かい、そこからカーライルに向かうらしい。えらく時間がかかるルートである。どうもナヴィにB6318と入れたために、このルートを走るようだった。

ところがこのルートを取ったおかげで、カーライルに向かう途中のA1走行中、多分ダーリントンの手前くらいのところで、いきなりのんちゃん(次女)が「ああ〜〜!!!」と大声を上げた。「何だ!?」と思っていると、彼女が「ミステリーサークル!!!」と言うので、ふと左に目をやると、何と麦畑の中に見えるではないか!花柄模様のソレであった。思わず「ウォー!!!」と叫ぶも、時速70マイルで走行中にて、ビデオもカメラもだめ。やむなく脳裏にしっかりと焼き付けておく。しかし見てしまった。次女はきのうベックレスからグリントンロッジに向かう途中でも見ているとのこと。しかしホントのところコレっていったい何なのでしょうか。

59.jpgニューキャスルからA69におり、途中でB6318に入り、ウォールの東の端から西の端までずっと見ることになった。いかにもイギリスの田園風景が広がり、右手には広大なスコットランドの平野が広がっている。かなり期待していたが、物は高さ1mほど、見た目は何と言うことのない石積みのウォールであり、やや期待ハズレ?中国の万里の長城とは違った・・・・。

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ヘイドリアン・ウォール跡(向こうはスコットランドの平原)

かくして若干時間を浪費したかなとも思いつつ、カーライルからA7に乗り、一路エジンバラに向かう。スコットランドに入った頃から風景が少し変わってきていることに気が付いた。まず家がイングランドと違う。イングランドは茶色のレンガで詰まれた家であったが、スコットランドは白い石積みの家であり、何となく北海道の雰囲気である。ふと北海道を走っているかのような錯覚に見舞われた。

エジンバラに入ると、さすがに大都市であった。と、ナヴィが突然前方において事故が発生しているとのアナウンスをする。これは都市圏では道路情報を自動的に受信して、問題を回避するルートを選ぶのである。ナヴィは最初M9を取って、スターリングに向かう指示を出していたのが、この事故の情報を受けてからルートの再計算を行いはじめ、途中のラウンドアバウトでUターンせよとの指示を出した。そこでその指示に従うと、今度はトラフィックジャム(渋滞)があるとのことで再び計算を始める。「おい、おい、大丈夫かよ?」と気を揉んでいると、UターンしてM6を降りろとのアナウンスである。ところがその指示に従うと今度は先の方で悪天候が発生しているとのことで、またまた計算を始める。このナヴィ大丈夫かな・・・?とやや不安になるも、これに頼るしかないわけで、やむなくラウンドアバウトを回る。かくして3回もルート変更をした結果、エジンバラのジャンクションを3回もグルグル回された。

そしてナヴィが最後に選んだ道はフォース湾をまたぐフォース・ブリッジを渡るコースであった。高速は無料であるが、ここは50ペンスを払ってブリッジに入ると、な、なんと不思議なことにこのブリッジには雲がかかっている。実に不思議な光景である。雲の中を車で走っている!!!感じとしてはレインボーブリッジを渡っているのであるが、雲の中。

ようやくM90に乗り、巡航ルートに乗れた。パースを通過し、いよいよスコットランドのディープな場所に入ってきた。イングランドは平野ばかりでいい加減アキがきていたが、こちらは地形がアップダウンが激しく、非常に変化に富んでいる。ひさしく見なかった山もある。谷もある。北海道の層雲峡的な光景である。やがて雨も降り出し、辺りが暗くなって、光景も木がなくなり、山肌にコケが生えているような、日本の高山的植生になって、雰囲気も荒涼として、何となくおどろおどろしい感じになる。

61.jpgかくして延々と走り続けて午後6時頃無事インヴァネスに到着する。ナヴィはここのB&Bの住所を入れてあったが、本当に門の前までピタリと誘導してくれた。このB&Bは1836年に建てられた格調高いジョージアン・ハウスで、美しいクリスチャンのご婦人が経営している。この方は若い頃の写真で見るとハリウッドの女優のような感じで、お子さんたちが自立し、多分ご主人を亡くされて、B&Bを経営されているようだ。部屋もバスもきれいに磨かれ、何とも言えない気品のある雰囲気のよいB&Bである。建物内に神の臨在のある甘い雰囲気を醸し出していた。

荷物をまとめてから、沸き立つ心を抑えつつ、車でネス湖を見に出かける。雨はかなり強くなってきているが、むしろこの方がネス湖の雰囲気がある。右が崖肌、左にリヴァー・ネスを見て道路を走ると、リヴァー・ネスがだんだんと広くなってくる。と目の前に広い、と言っても幅は狭いが、ネス湖が見えてきた。ついに来たぞ、北の果て・・・とやや興奮しながら、途中のパーキングで止めてネス湖を眺める。垂れ込めた雲の下、鉛のような色の湖の水面が広がっている。

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さらに崖の淵の石段を降りて、ネス湖の水に触れる。やはり何かいるぞ、と十分に思わせる何とも言えない不気味さがただよう湖である。と、見ていると、水面に何だか動きがある・・・。ネッシーか・・・!?実はこれ観光バスからオジサンたちがドドドっと降りてきたかと思ったら、いきなり飛び込んで泳ぎ出したわけ。いやはや元気なオジサンたちだこと!しかしこの写真、ちょっとテレビ局に持ち込んでみましょうか?

56.jpg興奮覚めやらぬままインヴァネスの街に戻り、箱庭のような街の中を車でぶらぶらする。運河の脇にイングランドとはまた違った何とも言えない、そう、ちょっと北欧的な街並みが続く。カモメもニャー、ニャーと飛んでいる。いい雰囲気である。かくして街の中のピザ屋で食事を済ませ、本日の眠りについた。

これまでユースホステルだったが、久しぶりのバスと柔らかいベッドにホッとくつろぐ。



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ピザ屋のガラス越しに
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インヴァネスの街