No.1424の記事

Dr.Lukeの一言映画評

アップロードファイル 19KB燃ゆるとき−小さなカップ麺会社がアメリカ進出するも現地の人々とうまく行かず業績が伸びない。そんな中へ中井貴一扮する川森が人々の心をつかむ努力の中で建て直しに成功する。現地の貧困にある女性スタッフが管理職を期待するも会社は彼女を拒否する。その報復として買収を目論む投資銀行の手先となって、川森をセクハラの罠にはめ、会社は莫大な損害金を払い、川森はその汚名をかぶったまま日本に戻される。

3年後、同工場にユニオン結成の陰謀が起きるが、再度川森が派遣されて戦う。そこに彼女がユニオン側の弁護士と共に現れ、同社のスキャンダルを暴くとして、川森は窮地に立たされる。が、彼は彼女に対して、当時管理職に登用できず彼女の心を傷つけたことを謝罪し、心からの真実の語りかけをする。人は人から信じてもらわないと生きていけない、と。彼女はその誠意に動かされ、3年間良心の咎めを経験してきたことを告白し、涙ながらに真実を語る。かくして会社は買収とユニオンから救われる。

ちょうど下に書いたラビ・バトラの警鐘をそのままに映画化したような作品。会社を単なる商品として、法律すれすれの策をもって売買対象とするアメリカ社会。対して会社は家族であるとして、人の生きる場、人生の舞台として育てるカップ麺会社。社長は対アメリカで敗戦を経験しており、「アメリカは怖い国だ」ともらす。また罠にはめた貧困にあえぐ女性は「アメリカが自由の国だというのは嘘だ」と証しする。富んだ者と貧しい者は厳然と分けられ、後者はけっしてそこから脱出できない。

アメリカは法律を駆使してその目的を達成しようとするが、最後に人の心の真実が勝利し、アメリカ人弁護士をして「まことのエクセレント・カンパニーを見た」と証言させる。肉食アングロ・サクソンの弱肉強食的価値観と、旧い日本の心と情を大切にする価値観の対立を巧妙に映像化している。う〜ん、なかなか渋くよい作品。現在のご時世にあってピッタリ。日本の心は死んでいない。お薦めです。