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低フラット化するニッポン

アップロードファイル 9KB東京都の世帯収入の統計によると、500万未満の世帯が過半数を超えたとのこと(→記事)。一方で億単位を手にする人たちも極少数いるわけだが、この円グラフが今の日本の真実を語っている。

先に紹介した『フラット化する世界』の指摘するとおり、社会はネットと言う誰もが勝手にモノを言える手段を得て、便利になるどころか、実は下へ下へとフラット化している。例えば都立高の地盤沈下の歴史を見れば分かる。ゆとりの教育ですでに教育現場はボロボロ。

その中で非埋没的意識を持っていた者は上昇できる。かくして格差が生まれる。問題はそれが水平的に広がるだけではなく、垂直的に伝えられること。好条件を得ている家庭の子息はまたそれを受け継ぎ、好条件を獲得するが、一度フラット化されるとそこから這い上がるのはほとんど困難となる。

安倍さんの語る「再出発」などは実は絵に描いた餅。かくしてフラット化された人々は妬みとつぶやきに終始するが、社会の健全性にとって庶民の妬みがもっとも危険。その大きな一つの兆候が「2ちゃんねる」みたいものが蔓延ること。かようなものが力を持つに至る日本の将来は、結局自分の首を絞めるだけであろう。これは庶民の妬みに迎合したマスコミがバブルを悪として騒ぎ立て、政府もそれを真に受けて、総量規制によってバブルをつぶした後、90年代がどうなったかを振り返れば分かる。

養老先生と禅師が、「まことの自由は不自由の中にある。個の確立していない日本では今の"自由"はむしろ個を失わせる。個がなければ公もあり得ない」と指摘するとおり。このような国を維持する道は、ずっと以前に書いてBBSにアラシが入ったが、あえて繰り返そう:20%のエリートを作り、彼らを業績に応じて厚遇すること。そしてそれを獲得するチャンスを残しておくこと。昔の旧制高校のような存在である。しかし不幸なことには、80%が20%を引き下げてフラット化するのが現在の日本。

元々個のない国に、格好だけ"自由"と"個の教育"なる幻想を持ち込んでしまったことにより、真の自由と社会までも消え行こうとしている。これによって言葉からして共有し得なくなり、個のない"個"は自閉性を高め、その妄想を膨らませる。それをまたネット上で共有する。そのような中から今回の頭部切断、さらに腕も切断していたようだが、こういった事件が増える。

昔、大宅荘一がいみじくも指摘した―『一億総白痴』と。そして三島も予言した、「いずれ極東に中身の空疎な経済大国ができる」と。Dr.Lukeとしてはこう言いたい―『一億低フラット妄想化社会』と。