個別表示

「古代日本」誕生の謎

アップロードファイル 11KB本書では新発見があった。日本統一の動きは近畿地方から始まったが、同地方は長い間文化的後進地であった。縄文文化の中心は東北地方、弥生文化は北九州、そして3世紀初頭にようやく奈良盆地で第三の文化が生まれた。それを首長霊信仰と呼び、有力豪族の祖先を首長霊として祭るもの。

特に「天皇霊(すめらみことのみたま)」なる大王(おおきみ)の祖先神が大和朝廷の首長である大王の体に宿って朝廷を守るとされた。このため首長霊信仰の成立と共に、日本列島すべての住民を「天皇霊」に従わせねばならないという発想が生じた。かくして3世紀末に大和朝廷の積極的な国家統一の動きが加速した。

要するに国家統一は「天皇霊」の支配によって可能だったわけ。かくして天皇が政治的にも権力を持つと共に、霊的な権威をも有することになった。う〜む、と妙に納得してしまった。天皇の政治的起源はイロイロ論じられているが、霊的起源がココにあったと・・・。

なるほどこれが連綿と現在まで継承されているわけで、憲法の規定は単なる象徴であるとしても、霊的には「天皇霊」を宿している天皇は「神聖にして犯すべからず」なのだ。また祖先礼拝の起源も理解できるし、さらに言霊信仰が輪をかけていくわけだ。ちょっと目からウロコの一冊だった。