アダムとエバ

−人間の不条理と希望−



１．人物像


アダムとはへブル語の土とか土壌を意味するアダマに由来します。神によって創造された人類の最初の人でした。くわしくはキーワードの「人間とは？」で論じてあります。エバとは命を意味し、アダムの伴侶として神によって、眠らされたアダムのあばら骨から創造されました。この二人は当初エデンの園にあって神との交わりと調和の中でその楽園の富を享受していました。



２．主要なエピソードとその霊的意義


物　語



キーワードの「堕落とは？」でも論じておりますが、彼らはサタンの化身である蛇の言葉に乗せられて禁断の「善悪を知る知識の木」の実を取って食べました。それまでは彼らの霊は生きており、神を意識してその栄光に包まれて生きていたのですが、自己意識に目覚めてしまい、自分たちの裸であることを知って神から隠れ、いちじくの葉で自らの恥部を隠しました。神の命に逆らうことによって、神は彼らが永遠に生きるといけないと考え、命の木に至る道を封じ、彼らを楽園から追放しました。その不従順の罰として、アダムは一生の間額に汗して土からの食物を得る労苦を、またエバは出産の苦しみを負わされました。人類の始祖である彼らはとにかく神に対して罪を犯し、神の当初の御旨から逸脱してしまったのです。


霊的意義



アダムについてはキーワードの「人間とは？」および「イエスとは？」で論じてあります。簡単にまとめますと、アダムは神による旧創造を代表する存在であり、人は誰もみな肉体的にはアダムにあって誕生し、霊的には死んでおり、したがって神を意識することはできないのです。私たちはこのアダムの犯した罪によるあらゆる結果と報いを否応無しに相続しており、その重荷の下で呻吟することになります。これが「アダムにある人」の生です。これに対してイエスは十字架でこのアダムにある旧創造であり不条理に満ちた存在である「古いわたし」を終わらせ、復活にあって新しい創造である「新しいわたし」として下さいます。

そしてイエスが神から得ているあらゆる積極的な嗣業を私たちに無代価で与えて下さったのです（キーワードの「十字架とは？」参照）。「第一の人アダム」と同一視されてその罪によるあらゆる不条理と重荷を否応なく背負わされていた私たちは、「最後のアダム」として自らその重荷を十字架で負って下さり、復活によって「第二の人」とされたイエスと同一視されて、彼の義の故にその積極的なすべての富を信仰によって無代価で私たちのものとすることができるのです。これが「キリストにある人」の生です。

エバについては新約においては教会との関係が重要となります。エバはアダムの妻でした。それと同様にキリストもご自身の花嫁として迎えるために現在教会である私たちクリスチャンを整えて下さっています。夫がその妻を愛し慈しむように、キリストは私たちをご自身の花嫁として愛し慈しんで下さいます。「それゆえ、人はその父と母を離れ、妻と結ばれ、ふたりは一心同体となる」（創世記2：24）という旧約聖書の言葉を、パウロは新約においては「この奥義は偉大です。私は、キリストと教会について言っているのです」（エペソ5：32）と適用しています。すなわち神の目から見るとアダムとエバはキリストと教会の関係の予型（タイプ）なのです。エバは眠らされたアダムのあばら骨から造られました。教会である私たちクリスチャンもキリストが十字架でわき腹を槍で刺されて死なれた後、その復活によって造られました。すなわち旧約のエバは新約の教会の予型であるのです。


３．神の全計画における意義


神はアダムとエバをキリストと教会の予型として創造されました。神はその全知によってアダムとエバが罪を犯すことも知っておられましたし、またその結果罪の中に生まれた人間を贖うご計画もすでに永遠の過去において予定されていました。すなわち本当の夫であるキリストの贖いによって人類を再び御自身の手に得て、彼らを教会としてキリストの花嫁として迎えるためであったのです。夫と妻の愛の関係はキリストと教会の愛の関係の予型（タイプ）なのです(→「聖書が究極的に語ること」参照）。そしてこの神と人の麗しい関係は黙示録１９−２２章において完全に成就するのです！

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