(注)注意すべき大事な点は、イエスは「聖書の・・・はこう解釈される」と言われませんでした。サタンにとって、私たちの聖書の解釈とか理解などはまったく脅威とはなりません。彼は御言葉そのものを恐れるのです。
すなわちサタンは私たちの御父に対する信仰(信頼)を揺るがし、私たちが自らの意志と方法をもって、自らの必要を満たし、結果としてすべての功績を自分に帰することを企てるように誘導するのです。もし私たちがそのような誘導に乗るならば、それはその特定の領域において、御父に対する信仰を放棄したことになり、御父の私たちに対する愛、顧み、良き御旨、必要の満たし、そして御父の言葉と人格を否定することになってしまうのです(→「誘惑の本質について」参照)。これによって私たちと神との交わりは絶たれてしまうのです。
サタンをこのことを実現するためには手段を選びません。神と人の間の麗しい関係を破壊するためには、何でもするのがサタンであるのです!そして私たち各人のもっとも弱い領域、すなわち信仰の薄い部分を狙い撃ちします。私たちの「肉」のもっとも弱い部分を彼はよく知っているのです。イエスにとっては空腹時に「石をパンに変えてみよ」という誘惑は、確かに誘惑となり得ました。なぜなら神の子としてのイエスはそれをなし得たからです。しかし私たちには誘惑になり得ません。もともと私たちにはできないことだからです。このようにサタンは私たちの特異性に応じて試みるのです。
サタンの誘惑は私たちの「肉」の弱い部分を突き、私たちの思いの内に彼自身の思いを投影することによってなされます。私たちの思いこそ戦いの前線であるのです。よって私たちは自分の思いに浮かぶ思いを監視する必要があります。いったいそれが誰に由来するものであるのか、神からか、自分からか、敵からか、十分に監視すべきです。そしてすべての思いをキリストの思いに従わせる必要があります。そのためにはキリストの言葉を心に豊かに住まわせる必要があります。御言葉で私たちの心を満たすのです。
サタンからの思いは私たちの努力によって無効とすることはできません。イエス御自身がなさったように、御言葉をもってサタンの思いに対抗するのです。サタンに対しては、私たちの思想、意志力、精神力などはまったく無力です。彼はただ語り出された御言葉(レーマ)を恐れるのです。サタンの誘惑を受けた時には、ただちに適切な御言葉を取り、「聖書に・・・と書いてある」と大胆に宣言しましょう。そのためには日ごろから御言葉を豊かに蓄える必要があります。
大体において、敵からの思いあるいは肉的な思いは、私たちの心の安息や平安の障害となり、もしそれに屈するならば、私たちは聖霊の臨在を失い、私たちの思いは暗くなり、命がしぼみます。もし神からのものであるならば、安息と平安が増し加わり、それに従うならば、私たちはますます聖霊の臨在と油塗りに満たされ、私たちの思いは明るく輝き、命に満ち溢れます。もし前者のような状態に陥ったならば、サタンはますます図に乗って、今度は私たちの良心に囁きかけ、私たちを罪定めします。
しかしそれを聞いてはなりません。私たちにはすでにイエスの血があるからです!イエスがすでにその罪を十字架において裁いて下さっているからです!私たちが罪定めを受ける必要はもはやないのです!ただちに罪を告白し、イエスの血で洗っていただくこと、これだけで私たちは赦されるのです。私たちの神の前での義は、自分自身の何かによるのではなく、十字架上のイエス御自身なのです。貴い血を流してくださった十字架のイエスを見上げ、サタンに宣言しましょう、「引き下がれサタン、十字架のイエスとその流れる血を見よ!」と。
サタンは、イエスの血に基づく私たちの義と、キリストにある私たちの神の子としての地位と、私たちはキリストと共に天に座している事実など、霊的な客観事実を無効とすることはできません。それはすでにイエスが完成してくださった御業です。彼は私たちの思いを騙して、それらの事実を見えなくして、私たちの主観的評価をおとしめ、私たちの霊的経験や状態を悪くすることができるのみです。そしてそれは私たちがサタンの囁きに耳を貸してしまうからです。サタンは生まれつきの偽り者です。サタンの声をイエスの御名によって拒否しましょう。サタンは私たちの大胆な御言葉の宣言をもっとも恐れるのです。
すでにキリストにあって信仰によって得ているこれらの事実をサタンに向かって宣言しましょう。サタンは脅迫の名人です。脅迫を受けたままではなりません。そのためにイエスの血、イエスの御名、御言葉を用いて、大胆にNO!と宣言するのです。「神に従いなさい。そして、悪魔に立ち向かいなさい。そうすれば、悪魔はあなたがから逃げ去ります」(ヤコブ4:7)。なぜなら、すでに私たちはキリストにあって勝利者なのです。自分で勝利するのではなく、すでに得ている勝利を信仰をもって宣言するのです!