No.68の記事

ヴァーチャル化の極致

大学生が家族を殺し、付き合っていた女子高生が殺人予備で逮捕された。お互いにネット上で付き合っていたらしいが、完全にアチラの世界に逝ってしまっている。言っていることが仮想現実的で、家族を殺す動機もよく分からないし、自分たちも共に死ぬことを計画していたようである。

また一方でケータイに夢中になっていて電車に跳ね飛ばされて死亡する人も出ている。彼らはケータイのメールがないと不安で、すでにケータイ依存症になっている。お互いの人間関係をケータイメールの中でのみ確認することができる。ヴァーチャル化の病理はすでに極致に来ている感じ。メンタルヘルスの講義のネタには事欠かないが、予想以上の病状の進行に少々危機感をいだいている。

現実において自らの身の置き所を喪失したある種の人々が、現実から逃避する形のネット上での刹那の逢瀬に人の温もりを感じつつ、互いの傷を癒し合う。何とも寂しい人のあり方である。