2007年06月18日

アイドルを生む社会とは

朝鮮総連の件では東京地裁が627億の返還判決。対して元公安調査庁長官は「守ってやるべきだ、と私の心の琴線に触れた」、一方の元日弁連会長は「敵であった元長官が理解してくれて心強いと思った」とのこと。うーん、ワケが分かりません。このオッサンたち、何をコソコソしているのだろうか?

と言うわけで世の中の悪事は密(ヒソカ)に行われるわけですが、見かけ上密であったほうがよい業界もあります。帰宅途上の車の中で観た「クローズアップ現代」で、あのZARDの坂井泉水氏の特集。何と驚いた事に90年代のアーチストで、シングルの売り上げが、安室奈美恵やドリカムを抜いて1970万枚のNo.1だとか!?結構な歳のオッサンが涙を流している光景があったが、いやあ、私はまったく知りませんでした。もっとも私の青春は山口百恵の引退と共に終わっておりまして、その後は音楽は消耗品でしたから。

で、講義でもちょうどアイドルが作られる病理について説明したのだが、その題材にネットで調べた坂井氏を用いていた。一つは時代のニーズがあること。つまり欲求不満とか不安を抱えた大衆の存在。二つ目に、大衆の欲求を投影されるべき、ある意味で無色無臭のキャンバス的存在である事。坂井氏はほとんど表に出ずに、その神秘性が各人のイメージを膨らませ、個々の欲求の投影スクリーンとしての条件を満たした。加えて、ある種のセックスアピールがあること。坂井氏は40歳と言う年齢にも関わらず、声も容姿も少女のような可憐さを持っていた。かくして大衆はアイドルと自分を同一視してアイドルの活躍により代償満足を得るのだ。・・・と言ったことを講義では説いたが、NHKではさらに、坂井氏を不安な先の見えない"時代の伴走者"であったと指摘していた。坂井氏はもしかすると意図せざるしてアイドルにされたのかもしれない。

つまりアイドルが出現する時代とは、大衆が抑圧され、不安と恐れが満ちている時代なのだ。古くはヒトラーを生んだのは、第一次大戦後の賠償金支払いで、年に1,000%のハイパーインフレを経験してたドイツであった。ケネディもベトナム戦争でゴチャゴチャ荒れていた60年代後半の米国で生まれた。小泉氏も90年代の日本ではこれまでにないアイドル性を持ったキャラだったわけで、大衆はその幻想的な期待を彼に託して、結局は裏切られることになる。

ところがその後を継いだ安倍氏は、何しろ私と同世代の谷間世代。これといった特徴もなければ、主張もないし、腕力もカリスマ性もない。きわめて影の薄い世代なのだ。しかし見かけだけはリーダーシップを取らないとと言うわけで、国会会期に対して無理な法案を羅列して、強行採決のオンパレード。どうも彼の淡いアイデンティティを、これらによって何とか確保してやろうと言う魂胆が見えてしまう。ここまで来ると、彼を見ていて、ややハラハラしてきた次第。神経が持つのかな、と。

ひるがえってキリスト教界では、この夏再びベニー・ヒンが来日するらしいが、まあ、ニッポンキリスト教もこういったアイドルの周囲に群がる人々が多いわけで、これは裏返せば、彼らの不安と恐れを証明しているに過ぎない。「リバイバル音頭」を叫ぶ人々を見ていると、ある種の悲壮感を覚えて、安倍さんが強行採決で自分を際立たせようとしてる様とまったく重なって見えるのだが、これは私の目が曇っているからだろうか?彼らや安倍さんが叫べば叫ぶほど、その内実の空虚さだけが明らかになってくるのだが・・・。ベニー・ヒンやチョウ・ヨンギに倣いたい牧師もいるそうだが、何とも虚しい限り。

そして何よりも、アイドルの最期は、尾崎豊にしても、坂井泉水にしても、あまり健やかなものではないことは覚悟したほうが良いでしょうね、これらのセンセイたちは。何故ならそれは神の立場に自らを置くことだからだ。真に神を畏れ、神で満たされるならば、アイドルなどは不要。自らもそういった露出場面からは身を引きたくなるもの。下で紹介されたJ.N.ダービーなどは写真がほとんど残っていないほどに露出を避けたのだ。アイドルとは人間による人間のための究極の自作自演であり、自分の髪を引っ張って空を飛ぼうとするようなもの。

かくして人間からの良き評価は神の悪評であり、逆もまた言える。前にも書いたが、げに不可解にして、恐ろしきは、ニ・ン・ゲ・ン。

Commented by ぽん 2007年06月18日(月)21:38

ベニー・ヒン・・・また来るって?
飽きもせず招く人がよくこんなにもいるものだ!
ショーですよ!ショー・・・
ショー、ショノトーリなんて聞こえそうです。

駄洒落かッ?

まぁ同じようなレベルだと思うんですが、
金粉云々、金歯が云々・・・・とかを思えば・・・。

いつから歯科医のセレブレーションに成ったんでしょうね。

Commented by kenji 2007年06月18日(月)23:53

クリスチャンのイメージは?
ある人がポツリ言う
『うそっぽい。偽善者。キモイ。』

我々は、現実を直視する必要があるようですね。
クリスチャンだから安心、信用できるという幻想は持たないほうがいいようです。
クリスチャンだから、というのは疑ったほうがいい。

ヒンさまとその取り巻きの方々は自分が何をしているのかわからないのですね。冷静に考えれば、ニッポンリバイバル祭りは北のマスゲームのようなものかも。

やや言葉が過ぎました。 汗

Commented by Luke 2007年06月19日(火)08:32

おっしゃるとおりですね。表と裏の乖離は、表が華々しく綺麗であればあるほど、裏は・・・です。

まあ、アイドルはヒン様のみでなく、この世での有力なタイトルを持っている人とかも、ソレを演じることができる人、あるいは好きな人がなるわけで・・・。人寄せパンダになりたがる人はいつの時代も、どこにでもいるのです。自覚がないと言うか、病識のない人は如何ともし難いものです。

どうもニッポンキリスト教は、トンでもない方向へと曲がり角を曲がってしまったようです。

二枚舌の米国と去勢されし日本

昨日の「サンデープロジェクト」によると、現在アメリカがイランの核開発に因縁をつけ、最悪の場合、イラン攻撃をする可能性もあるわけだが、そもそもイランに原子炉を提供したのは米国だったそうだ。70年代にイランからの留学生をMITが引き受け、ノウハウを教育し、しかも原子炉も提供したようだ。当時はイランはアメリカ側から見て、仕える存在だったわけ。その中心に何とチェイニーがいたと!?

ところがその後ホメイニ師が台頭し、核はイスラムに反するとして、核の研究を凍結。留学生もイランを離れ、ほとんどがアメリカに移住。そしてイランイラク戦争、湾岸戦争、イラク進攻を経て現在にいたるわけだ。そもそもイラクのフセインを育てたのはアメリカであり、さらにアルカイダを育てたのもアメリカ。この大国の二枚舌は、今回の北朝鮮のバンコ・デルタ・アジアの凍結解除の密約と送金にFRBが絡むことでいかんなく発揮されている。

そのアメリカに政治的・軍事的・経済的に去勢されたわがニッポンでは、公安の長官が朝鮮総連のビルを担保に数十億の借り入れをしたことが発覚。さらには現役公安の職員が朝鮮総連に便宜を図っている疑惑も浮上。自衛隊からの機密情報の流出は当たり前になったが、公安よ、おまえもか、と言いたいわけだ。

この去勢された国は主権国家たりえず、二枚舌の大国にペコペコするのみ。何とも情けない国に成り下がったものだが、やはり一度ポシャル必要があるのでしょう。わが国のカプセル化され、アメリカ発の"預言者"だの"使徒"だのにおめでたくものせられて"リバイバル音頭"を踊るニッポンキリスト教界と共に・・・。

Commented by イザヤ・ベン・ハー 2007年06月18日(月)16:39

迷子になった時、あちこち動くとかえって迷いが深くなります。日本社会もキリスト教界も、何だかそんな感じがしています。ゼロクリアして、原点に戻って、じっとする必要があるのかもしれませんが、Lukeさんの物言いは危険人物とされるでしょうね、業界で商売して方々からすれば。