2004年09月10日

ある学生の物語

試験成績が学生に交付された。いつものことながら、7名ほどの学生が、試験を受けたのに「欠」扱いになっている、とクレームを入れてくる。私の記入漏れも一部あるが、たいていはマークシートの記入ミス。

そこで学生を研究室に呼び、20cmほどの厚みのシートの束から自分で自分の答案をピックアップさせる。そして本人のミスを厳しく指摘して、お情けでやってやるんだぞ、といった雰囲気を醸しながら、自己採点させる。これで落ちているヤツは丁重にお引取りいただき、受かっている者は一応訂正をする。

で、本日、質問表において「自分は出席もし、試験も絶対受けているのに欠になっているが、どういうことであるか、これについてキチンと説明をしてもらいたい。」とやけに突っかかる文面の者がいた。本人を招いてシートの束を見せると本人の顔が一瞬引きつった。

自分で探し出せと指示して見ていると、のたりのたりとシートをめくっている。おかしいなと感じたが、ピッチを上げさせて、10分ほどかかって全部を見て彼が一言、「先生、これだけっすか?」。私:「そうだけど、ないの?」。「ないっす」。「試験受けたんだろ?」と私が問い詰めると、「ええっと、俺、マークシートの試験なんて受けた記憶がない・・・」と消え入りそうにボソボソ。私は内心で、「ははあ〜ん。これで読めた。」

お分かりですね、彼の魂胆が。因縁つけて単位をせしめようと言うわけ。こういった強弁をする場合は何か自分のやましさの裏返し。これはブッシュも同じであるが、こういった場合は態度もおかしい。しかし自分のシートは絶対ないと分かっているのに、黙々とシートめくりをした(要するにヤバイよと思いつつも、逃げるに逃げられずもそもそと演技をしたわけ)彼の心境を推測して、内心おかしくて、腹も立ちませんでしたね。おかしさをグッとこらえて、彼の目を見つめつつ、「いいか?納得したか?」と言うと、「いいです・・・」とそそくさと去りました。

きょうび、この手の人種が増えているのです。ちなみにNEET(働かない若者)がついに52万人。さてさて、ニッポンの未来は明るいでしょうか、暗いでしょうか?みなさん、どのようにマークします?

テロの拡散

パラノイドによる精神病理は伝染性がある。誰が味方で誰が敵か、いつやられるか、やられる前にやろうかなどの疑心暗鬼。ある種の霊と共にこのような精神病理は拡散する。

あの911の後、アメリカのNYの有名な教会を見てきた姉妹が語っていた。「気持ちが悪かった。みんなでアメリカの国旗を掲げてぐるぐる回りながら、むせび泣いているのよ」と。自己憐憫の霊である。アメリカ人は個人レベルでは善良でナイーブであるが、集団力学になると質が変わる。

今回またジャカルタでテロが起きたが、今後もますます増える。おそらく日本もこのままではいかないだろう。すでに武力で気に食わない相手をねじ伏せる霊をブッシュは全世界に放ってしまった。今後もテロは拡散する。